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シグルイのラストの解釈!伊良子清玄のミスと三重の死の意味

シグルイはほんと非現実的なくせして妙にリアルで、実におもしろかった。

 

でも、最終回にかけての伊良子清玄 と 藤木源之助の戦い。そしてその結末に関しては色々と謎めいていて、いろんな解釈ができるのかなあと思う。

 

とりあえず、以下、僕の解釈をメモっておくことにする。

伊良子清玄の無明逆流れはなぜ不発に終わったのか

伊良子清玄が敗北した一番の要因である、無明逆流れの誤爆!

 

これは、本来は思いきり切り上げた刀の反動で、体はドウッっと倒れこむ技のはずなのに、中途半端に刀が上に持ち上がっただけに留まっていた。

 

 

なぜか!?

 

 

まずそれは、岩本虎眼や藤木源之助に勝利した際もそうだったように、
伊良子清玄は本当にギリギリの戦いをする場合においては"いく"を側に置くという点に尽きると思う。

 

非現実的だけど、どうやら伊良子清玄は、自分の視覚以外の五感で敵を感じ取るとともに、"いく"の視覚によっても敵を感じ取る事ができるようだ。

 

 

それを証明する描写が、
伊良子と対峙した源之助が、その伊良湖の姿をドクロの顔に骨だけの両腕、さらには女性の乳房。そしてその乳房が傷つき割れた箇所から鋭い視線が現れる、という風に感じ取って、「この怪物め」と呟いたところだ。
伊良子清玄の怪物化1
伊良子清玄の怪物化2

 

これはつまり、
死神をも思わせる骸骨の姿は、伊良子清玄の悪魔のような力を表し、傷つけられた胸から出てきた視線は、"いく"の胸、"いく"の目を表している。そしてその胸+目をも内包している伊良湖は、悪魔の力を得るとともに、失った視力をも補った存在になっている事を意味しているのではないだろうか。

 

そして、決戦の最中、源之助はそれを感じ取ったのだろうと思う。

 

 

そしてその証拠に、その次の描写では、三重の不完全な流れ星を思い出し、剣を横(いくの方)に放り投げる手段を思いつく。

 

これはつまり、伊良子の視覚以外の五感だけなら、剣を伊良子に投げつけるだけで無明逆流れを誤爆させる事ができる自信があったが、予想外に(第三者としての)視力までも取り込んだ伊良子に対しては、この戦法は無効だと考えたのだろう。

 

 

その事から、源之助は視力である"いく"に刀を投げつけ、伊良子の視力以外の五感とのズレを引き起こし、伊良子に僅かながらの戸惑いやスキを生じさせたのだ。

 

そしてその結果、伊良子は不本意なタイミングで刀を跳ね上げ、遅れたタイミングで刀を返さざるをえなくなり、鍔迫り合いにもっていかれることになったのだと思われる。

 

 

無明逆流れではなかったのはなぜか。その答え

まず、本来の無明逆流れのように、ドウッと倒れこむ形にならなかったのは、伊良子が、投げられた刀と源之助本人との違いを明確に感じ取れる能力を有していたからだ。(源之助はそうは思っていなかったようだが)

 

つまり、
先に、笹原修三郎がしてやられたように、投げた刀を源之助と錯覚し、その刀に対して必殺の剣を叩き込んだ事で、その後の油断やスキが生じるような事がないように、伊良子は跳ね上がる力を抑えていたのだ。

 

してやられた笹原修三郎

 

でないと、この力を加減した説明がつかない。

 

 

この事から、"いく"の視力と、伊良子の視力以外の五感とのズレによる戸惑いさえなければ、伊良子は、少なくとも鍔迫り合いで負ける事はなかっただろう。
いや、むしろ大太刀を投げてしまって、小太刀しか持っていない源之助は、圧倒的不利な立場になっていたと思われる。

なぜ三重は自決したのか

そしてもう一つの謎。

 

三重はなぜ自決したのか?

 

 

これは明白だろう。

 

 

伊良子清玄に対して、父の仇である恨みをもちつつも、まだ密かな想いも併せ持っていた三重は、同時に源之助に対しても想いをもっていた。

 

こんな複雑な心境の中、源之助が伊良子に勝利したことでその恨みと想いは同時に消えたのだ。

 

三重の恨みと想いが消えた瞬間

 

 

しかしその後、源之助が伊良子の首を切り落とす際、伊良子に惹かれる原因ともなったあの悲劇の場面を思い出す。
(源之助は当時と同様、鼻血を出しつつも自分を殺して無理やり現状を受け入れている)

 

三重は生きる事に希望を失くす

 

 

三重は源之助に幻滅し、生きる意味としていた、伊良子に対しての恨み・想い、源之助に対しての想いをすべて失い、死を選んだというわけだ。

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